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[図形を動かして学ぶ]三角方程式・不等式(基本形、sin・cos)

今回は、三角方程式・不等式の基本形(sinθ=k のような形)を単位円を用いて解く方法について、デモを使って確かめていきましょう。

$0^\circ ≦ \theta < 360^\circ$ のとき、次の方程式・不等式を解け。

$(1) \sin \theta = \frac{\sqrt{3}}{2}$

$(2) \cos \theta < \frac{\sqrt{3}}{2}$

$(3) \sin 2\theta ≦ -\frac{1}{2}$

$(4) \cos (\theta + 60^\circ ) > \frac{\sqrt{2}}{2}$

この問題のように、三角関数の角が未知数となっている方程式や不等式を三角方程式・三角不等式といいます。

(注)この記事では、デモとの整合性を取るために全て度数法で表記しています。実際の問題では弧度法で問われることが多いので、その場合は弧度法で解答するようにしましょう。

以下に、三角方程式・不等式を単位円を用いて考えるためのデモを用意しました。

(アニメーションの速度)
やや遅
(式と角の範囲の設定)
$\theta$ ( $° ≦ \theta ≦ $ $°$ )

軌跡を表示する

上のデモを動かしてみましょう。プルダウンの数値などは何も変更せず、「動かす」ボタンを押してみてください。

すると、黒い点が円の右端から反時計回りにぐるっと一回転し始めます。

動く黒い点をじっくり見てみると、途中で2回色が赤くなったことに気がつきましたか?(もしわからなければ、「アニメーションの速度」を「遅」にチェックしてから「リセット」ボタンを押し、もう一度「動かす」を押して再度確認してみてください。)

今動かしてもらったのは、冒頭の問題の $(1)$ を視覚的に捉えるためのデモ画面です。

(1)の解法

$\sin$ は $y$ 座標であるため、この問題は言い換えると

単位円上 $y$ 座標が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ となる角はどこ?$0^\circ ≦ \theta < 360^\circ$ の範囲で答えよ

ということになります。

$0^\circ ≦ \theta < 360^\circ$ なので、単位円上の点が $(1, 0)$ からスタートして反時計回りに一周して再び$(1, 0)$ に戻ってくる間に、$y$ 座標が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ となる点の回転角を答えればよいというわけです。

デモではそれがわかりやすいように条件を満たしたときに点が赤くなるようにしています。

$x$ 軸の少し上に $x$ 軸と平行な直線が引かれていますが、これは直線 $y=\frac{\sqrt{3}}{2}$ を表しています。

そして、動点がこの直線上に来た時に赤くなるのが観察できます。

点が赤くなるのは $60^\circ , 120^\circ$ のとき。というわけで、$(1)$ の解は $\theta = 60^\circ , 120^\circ$ となります。

(2)の解法

次は不等式です。$\cos$ は $x$ 座標なので、この問題は

単位円上 $x$ 座標が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ より小さくなる角はどこ?$0^\circ ≦ \theta < 360^\circ$ の範囲で答えよ

になります。

では先程のデモ画面で確かめてみましょう。

(式と角の範囲の設定)のあとのプルダウン5つを、左から順に

“cos”, “<“, “√3/2”, “0”, “360”

を選択し、「リセット」を押してから「動かす」を押してください。

もしくは、以下のリンクをクリックするとデモ画面にスクロールされてプルダウンの選択肢が自動的に変更されるので、「動かす」を押すだけで見ることができます。

デモへ移動

今度は $y$ 軸の右の方に縦線が出てきますが、これは直線 $x = \frac{\sqrt{3}}{2}$ を表します。

そして、点が一周する間、直線 $x = \frac{\sqrt{3}}{2}$ より左側を動くとき点が赤くなっていることが確認できます。

これは、直線 $x = \frac{\sqrt{3}}{2}$ より左側の範囲は全て $x$ 座標が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ より小さいからですね。

動く点は $30^\circ$ を過ぎてから赤くなり、$330^\circ$ で再び黒くなります。

というわけで、 $(2)$ の解は $30^\circ < \theta < 330^\circ$ となります。

(3)の解法

次は、角が $\theta$ ではなく $2\theta$ となっています。

この場合は、$t = 2\theta$ と置き換えてみましょう。

$0^\circ ≦ \theta < 360^\circ$ より、$0^\circ ≦ 2 \theta < 720^\circ$

すなわち $0^\circ ≦ t < 720^\circ$ となるので、この問題はまず

$\sin t ≦ -\frac{1}{2} \ \ \ (0^\circ ≦ t < 720^\circ) \ \ \ \cdots (*)$

を解くことが目標になります。

この式の意味は大丈夫でしょうか?

単位円上 $y$ 座標が $- \frac{1}{2}$ 以下になる角はどこ?$0^\circ ≦ t < 720^\circ$ の範囲で答えよ

です。

では、上のデモを使ってこの不等式を解いてみましょう。

(式と角の範囲の設定)のあとのプルダウン5つを、左から順に

“sin”, “≦”, “-1/2”, “0”, “720”

としてから、「リセット」→「動かす」と押してください。

もしくは、以下のリンクをクリックするとデモ画面にスクロールされてプルダウンの選択肢が自動的に変更されるので、「動かす」を押すだけで見ることができます。

デモへ移動

※角が $\theta$ のままになっているのは気にしないでくださいm(_ _)m 今回はあくまで $t$ で考えています。

今回は $0^\circ ≦ t < 720^\circ$ で考えるので、点は二周します!

直線 $y= – \frac{1}{2}$ が引かれていますが、動点がこの直線上あるいは下に来たときに赤くなります。

動点が赤くなるのは $210^\circ$ から $330^\circ$ までと、$570^\circ$ から $690^\circ$ まで。

よって$(*)$の解は $210^\circ ≦ t ≦ 330^\circ, 570^\circ ≦ t ≦ 690^\circ$ となります。

これを $\theta$ の範囲に直しましょう。$t = 2\theta$ だったので、

$210^\circ ≦ 2\theta ≦ 330^\circ, 570^\circ ≦ 2\theta ≦ 690^\circ$

であり、それぞれ辺々 $2$ で割れば、$(3)$ の解は

$105^\circ ≦ \theta ≦ 165^\circ, 285^\circ ≦ \theta ≦ 345^\circ$

となります。

(4)の解法

最後は、角が $\theta$ ではなく $\theta + 60^\circ$ となっています。

ここでも、$t = \theta + 60^\circ$ と置き換えてみましょう。

$0^\circ ≦ \theta < 360^\circ$ より、$60^\circ ≦ \theta + 60^\circ < 420^\circ$

すなわち $0^\circ ≦ t < 420^\circ$ となるので、この問題はまず

$\cos t > \frac{\sqrt{2}}{2} \ \ \ (60^\circ ≦ t < 420^\circ) \ \ \ \cdots (**)$

を解くことが目標になります。

この式は

単位円上 $x$ 座標が $\frac{\sqrt{2}}{2}$ より大きくなる角はどこ?$60^\circ ≦ t < 420^\circ$ の範囲で答えよ

という意味です。

では再度、上のデモを使ってこの不等式を解いてみましょう。

(式と角の範囲の設定)のあとのプルダウン5つを、左から順に

“cos”, “>”, “√2/2”, “60”, “420”

としてから、「リセット」→「動かす」と押してください。※角が $\theta$ のまま(ry

もしくは、以下のリンクをクリックするとデモ画面にスクロールされてプルダウンの選択肢が自動的に変更されるので、「動かす」を押すだけで見ることができます。

デモへ移動

今回は $60^\circ ≦ t < 420^\circ$ で考えるので、点は $60^\circ$ の位置からスタートして一周します。

直線 $x = \frac{\sqrt{2}}{2}$ より右に動点があるとき赤くなっているのがわかると思います。

動く点が赤くなるのは $315^\circ$ から $405^\circ$ まで。

よって$(**)$の解は $315^\circ < t < 405^\circ$ となります。

$\theta$ の範囲に直しましょう。$t = \theta + 60^\circ$ だったので、

$315^\circ < \theta + 60^\circ < 405^\circ$

であり、辺々 $60^\circ$ を引いて、$(4)$ の解は

$255^\circ < \theta < 345^\circ$

となります。

まとめ

三角方程式・不等式の考え方をデモとともに見てもらいました。

私が高校でこの問題の考え方を教えていても、なかなか理解ができない生徒が多かった印象です。

そのような生徒に共通するのは、

・三角関数の定義を理解しきれていない

・弧度法を用いるのに慣れておらず説明について来れない

・方程式・不等式を解くことと単位円を使って考える方法をリンクさせることができない

といった問題がありました。

なので、今回のデモを通してイメージしやすくなってくれればいいと思いこの記事をかきました。

デモは式と角の範囲をいろいろと設定できるので、自由に設定して試してみてください。

単位円上をぐるっと回りながら条件を満たすところを考える、というイメージを頭の中でも描けるようになれば今回のような問題は解けると思います。

今回の問題の考え方は三角関数の様々な問題で使います。できるようになっておきましょう。

次回は、より考え方が難しい $\tan$ を含む方程式・不等式を扱います。

(問題の解答) 後ろの()は弧度法で答える場合

$(1) \theta = 60^\circ , 120^\circ$ $(\theta = \frac{\pi}{3} , \frac{2}{3}\pi)$

$(2) 30^\circ < \theta < 330^\circ$ $(\frac{\pi}{6} < \theta < \frac{11}{6}\pi)$

$(3) 105^\circ ≦ \theta ≦ 165^\circ, 285^\circ ≦ \theta ≦ 345^\circ$ $(\frac{7}{12}\pi ≦ \theta ≦ \frac{11}{12}\pi, \frac{19}{12}\pi ≦ \theta ≦ \frac{23}{12}\pi)$

$(4) 255^\circ < \theta < 345^\circ$ $(\frac{17}{12} \pi < \theta < \frac{23}{12}\pi)$

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