グラフが変化する2次関数の最大・最小問題。苦手意識がある人は多いはず。視覚的に理解しましょう!
この問題は、関数の式に $a$ を含むために簡単には求められない問題ですね。
この問題を考えるために、視覚的に捉える練習をしましょう。
関数の式は $y=(x-a)^2-a^2$ と変形できるので、このグラフの軸は直線$x=a$です。
下のスライダーを動かすと $a$ の値が変化します。それに伴い、グラフと軸(直線 $x=a$ )も動きます。
定義域は $0 \text{≦} x \text{≦} 2$ なので、$y$ 軸および直線 $x=2$ の間は定義域内であることが分かるよう、色を塗り、放物線が太くしてあります。
太線の部分だけ見て、$y$ はどこで最大・最小になるかを確かめてみましょう。
また、「最大値の場所を表示」「最小値の場所を表示」のラジオボタンにチェックを入れてからスライダーを動かすと、最大あるいは最小となる場所を点で示してくれます。
aの値:
どうでしたか?動かしてみて、最大・最小の場所がイメージできましたか?
実際のテストなどでは、このように画面上で動かすことができないので、自分の頭で動きをイメージした上で解答することが求められます。
$a$ がどの値の時にどこで最大・最小をとるのか。
考え方のポイントは、軸と定義域の位置関係です。
最大値
「最大値の場所を表示」のラジオボタンをクリックして、スライダーを動かしてみましょう。
すると、最大の場所を表す赤丸の位置が、
- 定義域の左端
- 定義域の両端(2箇所に赤丸が出現)
- 定義域の右端
の3パターンであることが分かります。
定義域の両端が最大となるのは、$a=1$ のときです。
そしてこのとき、定義域のちょうど中央に軸があります。
2次関数のグラフは放物線であり、軸を中心に左右対称です。
なので、定義域の中央が軸と重なるとき、定義域の両端は同じ値をとります。
そして、軸がここよりも
左に行けば(つまり、$a<1$ であれば)定義域の右端が最大、
右に行けば(つまり、$a>1$ であれば)定義域の左端が最大
ということになります。
最小値
「最小値の場所を表示」のラジオボタンをクリックして、スライダーを動かしてみましょう。
すると、最小の場所を表す青丸の位置が、
- 定義域の左端
- 頂点
- 定義域の右端
の3パターンであることが分かります。
最小値も、軸と定義域の位置関係から考えていきましょう。
定義域の左端で最小となるのは、軸が定義域より左側(すなわち、$a<0$ )のときです。
頂点で最小となるのは、軸が定義域の内部にある(すなわち、$0 \text{≦} a \text{≦} 2$ )ときです。
定義域の右端で最小となるのは、軸が定義域より右側(すなわち、$2<a$ )のときです。
このことを、もう一度スライダー を動かして確認してみましょう。
まとめ
$a$ の値が変化すると、図形がどのように動くか、問題文からイメージできるようにしましょう。
そして、軸と定義域の位置関係に着目して、場合分けして解答を丁寧に記述できるよう、問題演習を積み重ねていってください。
解けた人はこちらの問題もやってみましょう(定義域が動くパターン)
問題の解答
(最大値)
$a<1$ のとき $x=2$ で最大値 $4-4a$
$a=1$ のとき $x= 0, 2$ で最大値 $0$
$a>1$ のとき $x=0$ で最大値 $0$
(最小値)
$a<0$ のとき $x=0$ で最小値 $0$
$0 \text{≦} x \text{≦} 2$ のとき $x=a$ で最小値 $-a^2$
$a>2$ のとき $x=2$ で最小値 $4-4a$
おまけ
$y=x^2-2ax$ のグラフをスライダーで動かしていると、何か別のことに気づきましたか?
例えば、
「このグラフは $a$ がどんな値をとっても原点を通る」
「頂点だけをみていると放物線を描いている」
といったこと。これらは、数学Ⅱの問題として以下のような形で出てきます。
- 放物線 $y=x^2-2ax$ が $a$ の値に関わらず通る点の座標を求めよ。
- $a$ が全ての実数をとりながら変化するとき、放物線 $y=x^2-2ax$ の頂点の軌跡を求めよ。
(前者は恒等式、後者は軌跡の問題)
数学Ⅱを学習済みの人はぜひ解いてください。
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